2015年5月29日金曜日

大豆は完璧な栄養食品

大豆は植物の完全栄養食品である。

3大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)がバランスよく含まれているだけでなく、鉄分、ミネラル、ビタミン、食物繊維なども豊富で、小さな豆の中に、栄養ががっしりと詰まっている。

大豆は「畑の肉」とも言われる通り、卵や玄米にも負けない、優れた栄養食品なのだ。
 
10年ほど前まで、大豆などの動物物性タンパク質だけでは、体の材料となるアミノ酸が補えず、栄養不足になってしまうという説が主流だった。

そのため、肉や魚などの動物性タンパク質も積極的に摂りましょうと言われていたのだ。
 
しかし、最近の研究によって、大豆には、人間が生きていくうえで必要な栄養素が、ほぼ完璧に含まれていることがわかった。

大豆や、その加工品から植物性タンパク質をしっかりと摂っていれば、動物性の食品を食べなくても、栄養が不足することはない。
  
戦国時代、強大な武力を待った比叡山延暦寺の僧兵が、織田信長を苦しめたことはよく知られているが、僧侶たちのパワーの源は、大豆だったのだ。大豆は、約40%がタンパク質だ。
 
タンパク質は、体を作り、生命を維持するのに欠かせない重要な栄養素である。体は新陳代謝を繰り返しているため、新しい細胞の材料となるタンパク質は欠かせない。

大豆のタンパク質含有量の多さは、牛ヒレ肉(約21%)や鶏のササミ(約23%)、サケ(約22%)と比べても、飛びぬけて多い。
 
さらに、最近の研究によって、大豆のタンパク質は、肉類に比べて、質的にも優れていることが明らかになった。
 
タンパク質は、アミノ酸で構成されている。アミノ酸には、さまざまな種類があるが、そのうち必須アミノ酸と呼ばれる9種類は、体内で合成することができないため、食物から摂る必要がある。
 
大豆には、この必須アミノ酸がバランスよく含まれているのだ。
 
また、大豆のタンパク質が分解すると、「大豆ペプチド」という物質が生まれる。
これは、食事のカロリーを熱として消費する働きを高める。大豆ペプチドは、基礎代謝を促し、内臓脂肪や皮下脂肪を減らすため、ダイエットに非常に有効だ。
 
タンパク質以外にも、大豆の中に含まれる脂質、α-リノレン酸は、体内に入ると、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)になる。EPA、DHAは、生活習慣病を防止したり、がんを抑制したりする効果がある。
 
EPA、DHAは、アジやサバなどの青魚に多いことで知られているが、植物の中で、これほど良質な脂質を含んでいる食品は大豆だけである。

肉にも勝るタンバク貿と青魚にも劣らない上質の脂質。大豆は健康面から言っても、「畑の王様」なのである。
 
また、大豆には、イソフラボンに代表されるような、女性ホルモンと似た働きをする物質
が入っている。
 
イソフラボンは女性ホルモンの一種、エストロゲンと同様の作用かおるため、更年期障害や生理不順など、女性特有の症状を改善する効果が認められている。また、バストアップや美肌作用も期待できる。
 
特に大豆を加熱し、搾った豆乳は、手軽に飲むことができ、脂肪燃焼効果もあるので、女性だけでなく、男性にもおすすめだ。
 
大豆は優れた栄養を持つ完全食品だが、ただ一つ欠点がある。
それは、調理に時間がかかることだ。今では、茄でたものをパックにした水煮大豆がスーパーなどでも売られているが、そうした便利なものがなかった時代、大豆の調理は、非常に手間がかかった。
 
生の大豆は、そのままでは食べられない。煮豆にする場合、一晩水に浸してから、鍋で2時間以上茄でる必要がある。

また、大豆の組織はそのままでは非常に硬いため、消化が悪い。消化吸収をよくするためにも、古来様々な加工方法が考え出されてきた。
 
例えば、大豆を煎って、粉にすると「きな粉」。
蒸した大豆を発酵させると「しょうゆ」や「味噌」、「納豆」になる。
 
豆乳の搾りかすは「おから」。豆乳を温め、表面に張った膜をそっとすくったものが「湯葉」だ。湯葉は乾物として長期保存も可能である。
 
豆乳ににがりを入れ、タンパク質を固めたものが「豆腐」。豆腐を揚げると「油揚げ」や「厚揚げ」、凍らせると「高野豆腐」になる。
 
また、大豆を暗所で発芽させると、「もやし」になる。
 
ビールのお供に欠かせない「枝豆」は、大豆の未熟な株を収穫したものだ。
 
こうしてみると、大豆からできた食品は、随分いろんなものがあることがわかる。
 
ダイエットにも、健康にもいい大豆を、毎日の食生活にもっと取り入れてみてはいかがだ
ろうか?


関連参照:
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2015年5月26日火曜日

和食に自信を持てない?日本人

和食」とは、何だろう?

ここ50~60年で、日本人の生活環境は著しく変わった。環境ばかりでなく、生活様式も大きな変化を遂げている。
 
たとえば、農業でいえば、昔はクワやスキを使い、手作業で行っていたものが、今はトラクターやコンバインなどの機械に替わった。

家事や仕事なども同じだ。機械化、自動化によって効率が上がり、体はずいぶん楽になった。
 
食卓も様変わりしている。昔はおじいちゃん、おばあちゃん、息子夫婦、孫など、大家族で食卓を囲むのが普通だった。
 
しかし、核家族化か進んだ今は、親子3~4人で食卓を囲めればいいほうだろう。夫婦の共働きによる子どもの「孤食」も問題になっている。
 
当然、食事の内容も変化している。

1960年に比べて、2010年では米の消費量がほぼ半分になり、逆に牛乳などの乳製品は約4倍、牛や豚などの肉類は約5.5倍、油、油脂類は約3.1倍に増えた。
 
これほど大きく変化すると

一体何か「和食」か、わからない。どこまでが「和食」か、わからない。

例えば、牛肉を使った料理は、「和食」に入るのだろうか?
 
明治時代まで、日本人は肉を常食していなかった。しかし、今では、すき焼き、しゃぶしゃぶ、牛丼などは、誰もが和食としてイメージしているす。
 
また最近では、ラーメンやカレーライスも新和食と言われたりする。
  
一口に和食と言っても、時代によってその内容は大きく変わっているのだ。和食の定義は、おそろしく曖昧だといえるのです。
 
確かに「和食」は、世界一の健康長寿食だ。

しかし、いくら「和食」は健康にいいといっても、「我が家の食事の栄養バランスはすばらしいです」と、胸を張って答えられる人は、ほとんどいないのではないだろうか。

これでは「和食」に対し、日本人である我々が自信の持ちようがない。
  
一方、テレビや新聞では、「食の欧米化や食生活の乱れによって、生活習慣病が増えている」と盛んに言われている。

飽食の時代に警鐘を鳴らし、「伝統的な粗食で健康になる」「日本人の体質に肉は合わない」などと唱える研究者もいる。
 
粗食で本当に健康になれるのか? 現代の欧米化された食事は、本当に体に悪いのだろう
か?

さまざまな説が研究者によって唱えられ、マスコミを飛び交い、一般の方は混乱するばかりだ。
 
この混乱は、そもそも「和食」とは何を指すか、定義が曖昧であることが原因かもしれない。
 
「和食」は、時代によって大きく移り変わっている。特に戦後、高度成長期から激変した。

ではどういうの「和食」がもっとも健康にいいのだろうか?

2015年5月23日土曜日

肉と油は決して悪者ではない 

肉をよく食べる人は、病気になりやすいのでしょうか?

実際、「肉は寿命を縮める原因になるから、なるべく食べないほうがいい」「肉を食べると、血液がドロドロになる」と、心配している人も多い。

 
確かに、日本人は明治時代までは、ほとんど肉を食べていなかった。

牛や豚などの獣肉を食べ始めたのは、明治の文明開化以降である。

そのため、専門研究者の中にも、「日本人の体に肉は合わない」「がんや生活習慣病の原因は、肉食」という説を唱える人もいる。
 
しかし、最近の研究によって、肉をまったく食べないより、適度に食べたほうが、健康にいいことがわかってきた。
 
肉などの動物性タンパク質を控えると、抵抗力が落ち、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなる。

回復力も低下するため、風邪をこじらせ、肺炎を引き起こす可能性もあるのだ。。
 
また、動物性脂肪に含まれているコレステロールは、細胞膜や、各種ホルモン、胆汁酸などを作るために欠かせない。
 
コレステロールが極端に不足すると、血管が弱くなり、脳卒中を招いてしまう。

事実、動物性脂肪の摂取が少なかった1960年までは、脳溢血で亡くなる人が非常に多かった。
その後、日本人の平均寿命が延びたのは、肉食が大きく寄与していることは間違いない。健康長寿のためには、適度の肉が必要不可欠なのだ。
 
牛、豚、鶏など、肉の種類にバリエーションをつけ、食材の数を増やすことは、老化の抑制にも効果がある。

高齢者はサッパリしたものを好むため、肉を敬遠しがちだ。

しかし、食べる量が少なくなる高齢者にこそ、少量でスタミナが補給できる肉はお勧めである。
 
結局、肉と油について言えるのは、それ自体を悪いと考えるのは、ナンセンスということだ。
極端にカットすると、今度は体に悪影響を及ぼすのだ。
 
確かに現代は、肉と油を摂りすぎている。

しかし、摂りすぎが悪いのは、どんな食品でも同じである。
 
偏りをなくして食材を増やし、全体のバランスをよくすること。これが健康長寿への近道なのだ。



関連参照:
サプリメントとの付き合い方
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2015年5月20日水曜日

スーパー和食-8。出汁こそ最高の減塩

カツオ節、コンブ、干ししいだけ、煮干しなど、種類は何でもいい。味噌汁や煮物など、顆粒の化学調味料ではなく、面倒でも本物の食材から出汁を取ったものを使う。

香りとうまみで料理を引き立てる出汁は、日本特有の食文化である。

フランス料理や中華料理で、スープやソースを作るときは、牛や豚などのガラと、たまねぎやセロリなどの香味野菜、スパイスなどを数時間煮込み、トロトロになったものを使う。

 
日本の出汁は、コンブでもカツオ節でも、1~2分でサッと取る。日本の出汁は、味よりも「香り」を出すためのものなのだ。
 
確かに、コンブにはイノシン酸、干ししいたけにはグアニル酸が多く含まれ、味もおいしくなる。
しかし、それ以上に重要なのは、「香り」である。
 
例えば、野菜を煮て、味噌を溶いただけではおいしい味噌汁とは言えないだろう。
お吸い物や茶碗蒸しも、しょうゆやみりんなどの調味料だけでは物足りない。
 
出汁の香りがあって、初めて和食は成立するのである。

また、出汁には減塩を助ける効果もある。食べるときに、出汁の香りが鼻から抜けることによって、塩分が少なくても、味が付いているように感じられるのだ。
 
今まで穎粒の化学調味料しか使ったことがないという人は、手間がかかるが、ぜひ一度出汁を取って味噌汁を作ってみてほしい。
 
お勧めは、コンブとカツオ節の一番出汁だ。
まず、コンブと水を鍋に入れて、中火で加熱する。沸騰直前でコンブを取り出し、カツオ節を加える。沸騰したらすぐに火を止め、アクを取って30秒置く。そして、布巾やキッチンペーパーなどを敷いたザルでこせば完成だ。
 
その後、豆腐、ワカメなど、好みの具を入れ、煮えたら、いったん火を止めて味噌を溶かす。

出汁の豊かな香りと上品なうまみに、きっと驚くはずだ。
 
1960年代までの和食は、塩分が多いことが弱点だった。出汁をうまく使えば、それを克服できる。


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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書


関連参照:
スーパー和食。調査方法
スーパー和食-3
素晴らしき発酵食
ビタミン・ミネラル活用事典
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
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2015年5月17日日曜日

スーパー和食-7。食後の果物が健康を作る

食後には、デザートとして果物を食べるべきだ。
ただ、仕事や勉強で疲れたときや、ちょっと小腹が空いたときのおやつには、果物が最適なのです。
 
果物は健康にいい。このことは、1975年の果物消費量の多さからも証明されています。
「いくら体にいいと言っても、たくさん食べると糖分の摂りすぎになってしまうのではないか?」と心配したり、「果糖は、血糖値を上げやすく、太りやすい」と、果物を敬遠したりしている人もいるかもしれません。

しかし、常識的な量の果物で、糖分の摂りすぎになることはまずありません。

摂りすぎの目安は、ミカンー日15個以上、リンゴー日10個以上だ。いくら果物が好きな人でも、そんなにたくさんは食べないでしょう。

おやつやデザートで果物を食べたからといって、糖分過剰になることはないのです。
 
さらに、果物はほとんど脂肪を含まないため、カロリーは菓子類の10分の1程度と低いのです。
また、豊富に含まれる食物繊維がお腹の中で膨らみ、満腹感をもたらすので、食べすぎの心配もありません。果物は非常に優れたダイエット食品と言える。

果物に含まれる果糖は、ブドウ糖と同じ単糖類です。単糖類は、体内でそのままエネルギーになるため、疲労回復に効果的なのです。
 
また、果物には、ビタミンのほか、体にいい物質が豊富に含まれています。
 
例えば、ミカンの果肉に含まれる色素、カロテノイドには、がんを抑制する作用があることが知られています。
 
パパイヤ、パイナップル、キウイなどに多い酵素、プロテアーゼは、肉などのタンパク質を分解し、消化吸収を助ける効果があります。肉料理のデザートとしてこれらの果物を摂ると、胃もたれや胸焼けを防ぐことができるのです。
 
また、旬の果物には、季節を快適に乗り切るための栄養がぎゅっと詰まっているのです。
 
例えばミカン。日本ではコタツにミカンは、冬の定番だ。

ミカンは古くから、風邪の特効薬として使われてきました。ミカンには、ビタミンCやビタミンAなど、免疫カアップや、抗酸化作用のある栄養が豊富に含まれているのです。寒さから体調を崩しやすい冬に、うってつけの食べ物です。
 
夏の果物の王様といえば、スイカだ。
スイカは、成分の90パーセント以上が水であるため、汗をかきやすい夏の水分補給に最適である。さらにカリウムやカルシウム、マグネシウム等のミネラルも含まれているので、少量の塩を振ると、スポーツドリンクと同じような効果が期待できるのです。
 
さらに、スイカなどの果物に含まれるカリウムには、体内の水分を排泄する働きがあるため、むくみに絶大な効果を発揮します。
 
夕方になると、脚がパンパンで靴が入らない、お酒を飲んだ翌日など、顔がむくんでしまうという人は、スイカやメロン、キウイ、バナナなどを朝食やおやつとして食べるといいでしょう。

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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書


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スーパー和食。調査方法
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2015年5月14日木曜日

スーパー和食-6。和食の底力は海藻にあり

1975年は、今と比べて「海藻」を多く食べていた。
海藻は、その成分のほとんどが食物繊維である。

炭水化物や脂質などの栄養は、消化によって分解・吸収され、体のエネルギーとなるが、
食物繊維は、人間の消化酵素では分解できない。
つまり、食べても体に吸収されることなく、そのまま便になって体外に排出されてしまうのだ。
 
そのため、長い間、「食物繊維は栄養にならない不必要な物質」と言われていた。
食物繊維の健康効果、ダイエット効果が広まったのは、1972年に発表された、イギリスの医師、デニス・バーキット博士の論文による。
 
バーキット博士は、欧米人に比べ、アフリカの先住民に大腸がん、糖尿病、心筋梗塞などの生活習慣病が少ないのは、食物繊維を大量に摂っているからであるという説を発表し、

「すべての生活習慣病の根源は、20世紀の食生活が、食物繊維を失ったことにある」

と、現代人の慢性的な食物繊維不足に警鐘を鳴らした。
 
その後、多くの研究によっても、食物繊維は健康に欠かせない物質であることが明らかになっている。
 
食物繊維は、体の栄養にはならない。しかし、口から入り、消化器官を通り抜ける際に、さまざまなよい働きをしてくれる。

まずは、便秘解消効果である。食物繊維が便のかさを増し、排便をスムーズにするため、ポッコリと出たお腹を引っ込め、美肌にも有効だ。

また、海藻に含まれる水溶性食物繊維には、血中コレステロール値を下げる効果が認めら
れている。

ワカメやコンブに多いアレギン酸は、コレステロールが体内に吸収されるのを防ぎ、海藻のヌルヌル成分、フコイダンは、腸の中の余分なコレステロールや老廃物を包み込んで、体外に排泄する作用がある。
 
さらに水溶性食物繊維は、胃の中で水を吸収して膨らむので、満腹感をもたらし、食べすぎを抑えることができる。腹持ちがよく、カロリーの低い海藻類は、まさにダイエットに最適な食材なのである。
 
海藻の大きな魅力の一つは、価格が安く、一年を通して手に入りやすいことだ。
 
出汁取りや煮物、おでんの材料になるコンブ。寿司に欠かせない海苔。天草から作られる
寒天やところてん。ワカメ、モスク、メカブなども、味噌汁の具、酢の物、和え物としてよく使われる。
 
また、ヒジキ鉄分を多く含むため、多くのマラソン選手や実業団の食事にも取り入れられている。
 
シドニー八輪マラソン金メダリストの高橋尚子選手は、現役時代、1日に納豆4バックと、ボウルに山盛りのヒジキを食べて貧血を防いでいた。また、福士加代子選手は、海外遠征の際にも、必ず日本からヒジキを持って行くという。
 
さまざまな健康効果のある海藻だが、実は世界で食用の習慣があるのは、
日本のほか、韓国、中国沿岸部、スコットランド、アイルランド、チリなど、ごく一部の国だけだ。
 
欧米では、食用にする習慣が少ないので、海藻はseaweed(海の雑草)と呼ばれ、ゴミとして処分されているという。
 
日本での海藻の歴史は古く、縄文時代から食べられていた。

健康食としての和食の底力は、「海藻」にあると言っても過言ではない。


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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書


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2015年5月11日月曜日

スーパー和食-5。1日1個は卵を食べよう

昭和50年(1975年)は、今よりずっと多く卵を食べていたのだ。

卵は非常によくバランスのとれた、完全栄養食品である。


しかし、コレステロールが注目されるようになると、卵の消費は下り坂になった。

卵は、数ある食材の中でも、最も誤解を受けてきたものの一つだ。


「卵を食べすぎると、コレステロール値が上がり、血液がドロドロになる」

「コレステロール値が高めの人は、卵を食べてはいけない」
このように考えて、卵を控えている人も多いのではないだろうか。


コレステロールとは、一体何だろう?
コレステロールは脂質の一種である。脂質というと、内臓脂肪、皮下脂肪など、悪いイメージを持たれがちだ。

しかしコレステロールは、脂質は炭水化物、タンパク質などと並んで、人間の体に欠かせない栄養なのである。
 
人間の体は、60兆個もの細胞の集まりだ。細胞の一つ一つは、細胞膜に包まれることで形を保っている。それらすべての細胞膜の材料になるのが、コレステロールなのだ。
 
また、コレステロールは女性ホルモン、男性ホルモンなどの原料になったり、血管の弾力性を高め、丈夫にしたりする働きもある。

しかし、そもそもコレステロール値の上昇と、卵には何の因果関係もない。それを証明する、いくつかの実験がある。

1981年、日本で、コレステロールに関する興味深い研究結果が発表された。

健康な成人に、1日5~10個の卵を5日間連続して食べ続けてもらい、被験者の血中コレステロールを調べた。その結果、毎日10個ずつ食べた人でも、血中コレステロールの値はほとんど変化しないことがわかったのである。
 
98年に行われた、国立健康・栄養研究所による実験でも、同じ結果だった。
1日10個以上の卵を、10日間以上食べ続けても、被験者の血中コレステロール値は上がらなかったのだ。
 
また、2002年にアメリカで発表された、1万人を対象に、16年間行われた追跡調査でも、毎日卵を食べている人と、食べていない人で、心臓病・動脈疾患・脳梗塞の発症率に違いは見られなかった。

現在世界では、卵に血中コレステロール値への影響はなく、むしろ良質のタンパク質やビタミンなどの供給源であることが祈たな常識になりつつある。

75年に多い、目玉焼き、出汁巻き卵、オムレツ、スクランブルエッグなどは、まさに理想的な朝食メニューなのだ。

江戸時代、卵は庶民にとって贅沢な食材であり、当時の消費量は1人1年あたり10個にも満たなかった。江戸末期に書かれた記録書、『守真謾稿』によれば、かけそばがI杯16文の時代に、ゆで卵が1個20文で売られていたという。

今の価格で考えると、ゆで卵1個が500円以上したということになる。
家庭で食べるよりも、病人のお見舞いや贈答品、男性から女性へのプレゼントとして買い求められることが多かったといいます。
 
卵が日本の食卓に普通に登場するようになったのは、昭和30年(1955年)以降だ。品種改良や生産技術の向上で、供給が安定し、庶民にも手に入れやすい価格になったことが大きい。
 
よく、「巨人、大鵬、卵焼き」と言われるように、卵は高度経済成長期の、そして豊かな日本社会の象徴だったのである。

60年代に年間1人約100個だった卵の消費量は、75年には約280個と急激に増えている。しかし、現在は「卵はコレステロール値を上げる」などの誤解が広まったこともあり、減少傾向にある。
 
それでも、世界的に見て日本人は卵を多く食べる国民だ。
年間1人あたりの卵の消費量はメキシコについで、日本は第2位である。

このことは日本が世界でもトップクラスの長寿国であることと、大いに関係かある。
卵には、コレステロール対策には一番と言われるオレイン酸が多く含まれている。オレイン酸は、血中の悪玉コレステロールだけを下げる優れた作用を持つ。

卵はコレステロール値を上げるどころか、下げてくれるのだ。
脂質、たんぱく質などがバランスよく含まれた、完全栄養食品である卵を、現代人はもっと食べてもいい。

卵は、1日I~2個は食べるべきだ。

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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書


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2015年5月7日木曜日

ヒトゲノム編集。どこまで?

自然や、将来ヒトとなる受精卵をどこまで改変してよいのだろうか?

ヒト受精卵の遺伝子改変を試みたとする中国の研究者の論文が4月、科学誌に掲載され、波紋が広がっている。


世界で注目を浴びた理由は、ゲノム編集という技術をヒト受精卵に使った初めての報告例だったからだ。

 
ゲノム編集とは、特別な酵素を使い、効率的に遺伝子を切断したり置き換えたりする技術のこと。


蒸気機関にジェツトエンジンが取って代わるような革新的な技術」と期待され、作物や昆虫、家畜などの分野では「設計通りに遺伝子を改変できた」と報じる論文が急増しているようだ。


2013年に登場したこの最新の酵素は、利便性やコストの面でも優れており、多くの研究者が実用化に向け、実験を進めている。

従来の遺伝子組み換えは成功するまでに労力と時間がかかっていたが、ゲノム編集ではほぼ狙いどおりに改変できるのだ。

その目的はさまざまで、「病原菌に強い作物にする」「消費者に好まれる香りに変える」ことなども可能なのだ。

医療の分野では、エイズ患者に、ゲノム編集でウイルスの影響をなくした免疫細胞を投与して治療する臨床試験が進んでいる。

ヒト受精卵をゲノム編集し、遺伝性の病気を防ぐことも理論的には可能だとされているが、現在のところ、

次世代への影響が予想できず、多くの国でヒトの生殖細胞の遺伝子改変は禁じている。
 
今回の中国の論文を、ネイチャーなどの有名科学誌は倫理的問題も考慮して掲載を拒否したという。
 
今後、ゲノム編集に対する何らかの規制が必要なことは間違いないが、残念ながら、国内の状況はその時代への備えがまったく不十分と言わざるを得ない。
  
指摘されている問題点として、
・遺伝子組み換え作物については、生物多様性の確保のため、規制する法律があり、国が影響を審査し、承認された作物しか使えない。しかし、ゲノム編集は突然変異と見分けられないケースもある。改変の痕跡が残らないとなると、現行の法規制の対象から抜け落ち、広まる恐れがある。

・医療では、不妊治療クリニックで技術乱用される恐れが否定できない。
国内には生殖医療に関する法律はなく、生殖細胞の遺伝子の改変は指針で禁止されているだけで強制力は弱い。親が望む特徴を持つ子を作る「デザイナーベイビー」が現実化する恐れがある。


ゲノム編集の農業への応用に関しては、日本学術会議が現状と課題をまとめ、議論を続けているようだ。

消費者の知る権利の確保も含めた規制のあり方などが議論されてしかるべきだが、国はまだ重い腰を上げていない。 

私たち人間は、自然や、将来ヒトとなる受精卵をどこまで改変してよいのか。その危険性と利益、生命倫理の観点から社会全体で対話を深めていく必要がある。



参考:
ゲノム編集の凄さ



関連参照
つまらんことでしょうか
スリムさんの感想
はてなブログ
遺伝子検査で何がわかるのか?
男性不妊の問題



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2015年5月5日火曜日

サプリメントの取り扱い方

意外と知らずにいるサプリメントの取り扱い方のアドバイスです。


1>ぬれた手などで触れたカプセル(タブレット)は容器に戻さない。(水分の付着が変色等の原因となります。使用後はキャップを堅くしめるなどして防止をする。

※ぬれたり、湿っている手の上に出したサプリメントを、再びボトルへ戻してしまうことは、容器中のサプリメントが湿気を帯びる原因になります。さらに、ボトルの蓋がしっかり閉まっていない場合でも湿気を帯びやすくなります。

2>サプリメントの保管は、室温(15~30℃)が最適です。

室温よりも極端に涼しくなる場所(たとえば冷蔵庫や冷凍庫等)での保管は控える。

・サプリメントを冷蔵庫に入れのたびに出し入れすることも、湿気を帯びる原因となります。

また、サプリメントが湿気を帯びると、カプセルの中身の色が部分的に濃くなってシミのように見えたり、ニオイがきつくなったり、栄養素が変性してしまう可能性があります。


3>直射日光の当たる場所や夏場の車中等、極端に暑くなる場所での保管は控える。
※40℃以上の高温になる場所では、栄養素の変性が起きたり、カプセル同士がくっついてしまったり、カプセルが破れて中身が出てしまう可能性があります。


4>開封後は賞味期限にかかわらず、1~3ヶ月以内にできるだけ早く飲み切る。
サプリメントは製造から月日が経つごとに中身の性能は劣化していきます。
サプリメントは生鮮食品と同じと考え、開封後は賞味期限にかかわらず、1~3ヶ月以内にできるだけ早く飲み切るべきです。



関連参照:
サプリメントとの付き合い方
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
中高年からの筋肉作り  
サルコペニア予防  


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2015年5月2日土曜日

めまいが増えた!

突然、自分や周囲が回転するようなめまいに襲われる代表的な疾患といえば、内耳機能に障害をもたらすメニエール病でしょう。

あるいは自律神経障害も考えられますが、回転性でない場合、数の上で一番多いのは起立性低血圧症でしょう。
 
昔、学校の朝礼でふらついて倒れる(多くは女性の)生徒をたまに見かけたでことがあるでしょう。

あの時期特有の思春期性起立性低血圧症は、急速なホルモン変動も一因だとされていますが、成人の場合は姿勢を変化させたときなどに生じがちです。


横になっていた人が急に立ち上がれば、重力に引かれた血液はどうしても下肢の方向へ偏り気味となります。

このときに、加齢に伴い血管内で血圧を感知する受容体の感度が低下し、姿勢の変化に対する血圧の調整がうまくいかなくなると、めまいを感じやすくなります。
 
食後や排便後に体内の環境が変わったのに、自律神経がうまく対応できなくても、一過性の低血圧になることはあります。
 
加齢に伴い、体内を循環する血液量は減少していきますから、血圧を保ちにくくなる人も現れます。高齢者に広く見られる無自覚な脱水症も、血液の絶対量を減らし、低血圧の一因になります。

こうした場合は水をしっかり飲んでもらって、循環血液のボリュームをしっかり確保することでも改善につながります。
 
気をつけたいのは、めまいの背後に、糖尿病、アルコール依存症、高齢者では動脈硬化などの疾患が隠れていることです。

高血圧で治療中の方は、降圧剤の影響も考えられます。
 
また、平衡感覚に影響する中枢神経である小脳に梗塞があっても、めまいや立ちくらみを生じるときがあります。

症状がつらければ、耳鼻咽喉科や脳ドックを受診しましょう。

単なる起立性低血圧で生活に支障がなければ、特に心配はないはずです。


関連参照:
「加齢」との付き合い方

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