2015年6月28日日曜日

脳と脂質の関係?

脂質は体によくないといったイメージが広がっています。

なかでも油脂は体によくないものの代表選手のようにいわれています。
 
けれど、油脂というのは、本来、生鮮食品なのです。

オレンジを搾ったものがオレンジジュースであり、リンゴを搾ったものがリンゴジュースであるなら、ゴマを搾ったゴマ油も、オリーブの果実を搾ったオリーブオイルもジュースと同じです。

本当は、油類はジュースのように新鮮なものであるはずなのです。
 
長く保存しておくと、油類は劣化し酸化します。

傷むものだから、昔は少しずつ量り売りしていたのだと思います。
 
私たちの体は、60兆の細胞でできているといわれています。その一つひとつが油脂の膜で覆われているのです。
 
たとえば、冬の乾燥から手を保護したいと思ったらクリームを塗りますし、大事なバッグなどもクリームを使ってきれいにしてから保管します。自転車や自動車にしても、錆びないように油やワックスを塗ったりします。

それと同じように、細胞を保護するために油脂は必要不可欠なのです。
 
私たちの細胞を覆い、守ってくれているのは、リン脂質と呼ばれる油脂です。

リン脂質がよい状態であるならなんら問題は起きませんが、リン脂質が酸化してしまうとさまざまな問題を引き起こします。
 
体に問題が起きないようにするためには、酸化している油脂をロから摂取しないことはもちろん、細胞膜の油脂を酸化させる食物も摂取しないようにすることが大切になってくるのです。
 
悪い油脂は必要ありませんが、良質な油脂は体に必要不可欠なのです。

特に、大人になり、体をメンテナンスする段になると、油脂は欠かせなくなります。

酸化したリン脂質で覆われた細胞×60兆の体と、良質なリン脂質で覆われた細胞X60兆の体であれば、誰もが迷わず、後者の体を選ぶはずです。

よいリン脂質で覆われた細胞×60兆の体なら、その先にできてくる体に十分期待が持てます。
 
確かに、油類の中には、私たちの体に悪さをするものがあります。
しかし、すべての油類が悪さをするわけではありません。

私たちの体に悪さをするかしないかの分かれ道は何かというと、体温で溶けるか、固まるかということです。そこがポイントなのです。

2015年6月25日木曜日

どんな体にするか?で食べるものが異なってくる

アスリートの食事を考えるときに、自分の体をどんな体にしたいかでその材料が異なることを知るべきです。



口から入ったタンパク質は、どのようにして体に吸収されるのでしょうか?

タンパク質であれば、どんな食べ物からとるのでも変わりはないのでしょうか?

食べ物をとる際、まず私たちは口で噛み砕きます。


口の中で小さくなったものはまず唾液と混ざり、喉を通って、胃や腸へ送られます。

胃や腸にいくと、今度は他の消化酵素が出てきて、飲み込んだ食べ物をさらにバラバラに分解します。

体はそのバラバラになったパーツの中から、必要なものを取り出します。
 
たとえば、豚肉を食べたら、タンパク質を構成するアミノ酸というパーツを取り出し、ご飯やバナナからは炭水化物を構成するブドウ糖というパーツを取り出すといった具合です。
 
タンパク質というのは、アミノ酸のつながりからできていて、それぞれのタンパク質に含まれるアミノ酸の種類や数が違います。

アミノ酸の種類や数、そしてその組み合わせ方が違うから、でき上がってくるものが違うのです。
 
豚肉を食べても、体の中で人間用になるよう正しく組み替え作業をするから、豚用の骨ではなく人間の骨になるわけですし、豚用の血液ではなく人間の血液になるのです。

つまりブロックでできているガンダムをバラバラにして、同じブロックを使って、新たに家を作るようなイメージです。
 
ところが、たとえば赤い屋根を作りたいというときに、赤いブロックがあまり入っていない材料がきたら、使える材料は少なくなります。

逆に、赤いブロックがたくさん入っている材料がくれば、赤い屋根を作るのに好都合というわけです。
 
しかし、使いたい材料が多く入っていても、まったく同じものを作るのではなく、違う形に作り替えるわけですから、すべてのヒースを一つ残らず使うことはできず、どうしても余りが出てしまいます。

もしかすると、赤い屋根を作るときに余ったピースは、他のものを作るために使うかもしれません。

けれど、使わないものばかりが多くなっていくとどうなるでしょうか。

これが体に悪さをしてしまうのです。
 
ですから、できることなら、体が必要としているものだけを食べたいのです。

必要なものだけを取り入れることができたら、効率よく、自分が思うような体を作っていくことができます。もちろん、余りも出ません。
 
どういう体を作りたいかは、その人のやっているスポーツ、その人の年齢、その人の生活習慣などによってそれぞれ違ってきますが、それ以前に、人としての形を作るうえで基本的に必要なものがあります。

やみくもに、理想の体を目指すのではなく、まずは、体の基本を作り上げることが何よりも重要です。
 
体の基本ができたうえで、その人の体に合った食べ物が体内に入ってくれば、その人の今の体と調和します。

調和から生まれる体にはワクワクとした期待が持てるのです。

 
バランスはもちろん大切ですが、プラスマイナスといった収支合わせの食べ方ではなく、
自分がロにしたものが自分の体と調和し、調和した結果として、

何が生まれてくるかということをイメージしながら食べていく

ことが大切なのです。


関連参照:
スポーツと栄養と
素晴らしき発酵食
ビタミン・ミネラル活用事典
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
サルコペニア予防  
つまらんことでしょうか

↓クリックをお願いします。


2015年6月22日月曜日

血液製造の栄養素、吸収促進の栄養素

血液は、血漿と血球の2つに分けられます。

さらに血球には赤血球と白血球と血小板があります。

血管のところでお話ししたように、赤血球は酸素と栄養を運んでくれる運び屋です。

赤血球が、酸素と栄養を運んでくれるから、それを燃焼させて、体を動かすことができるのです。

血液というと、まず頭に浮かぶのが貧血ですが、一口に貧血といっても何種類もあります。

なかでも有名なのが鉄欠乏性貧血で、これは文字通り鉄が欠乏しているために起こる貧血です。

この鉄欠乏性貧血の場合は、欠乏している鉄をとることによって改善できると思います。

しかし、貧血の原因が何かということがわからないのに、ただ鉄を摂収してもなんの解決にもなりません。
 
アスリートたちは、自分の健康状態を知るために血液検査を頻繁にします。


トレーナーが実感していることがあります。
それは、赤血球の数が少ないことこそ「貧血」だということです。

運び屋自体が少なかったら、栄養を体の隅々にまで運ぶことはできません。

ですから、血液検査の結果を見るときは、鉄分だけでなく、ぜひ総赤血球数が足りているかどうかも気にすべきなのです。
 
では、赤血球数が不足していた場合はどうすればいいのでしょう?
 
この場合は、血球の原材料を与えればいいのです。
血球はタンパク質がもとになっているので、タンパク質を多くとり、血球を作り出す条件を整えればいいわけです。

鉄が足りないという場合は、鉄分だけでなく、鉄分の吸収をよくするビタミンCと組み合わせて摂取し、逆に、鉄分の吸収を阻害するカフェイン、タンニンなどは一緒にとらないようにします。

食事中に、お茶やコーヒーを一緒に飲よないようにといわれるのは、そのためです。

赤血球も鉄も不足していないけれど、ヘモグロビンが少ないという場合は、ビタミンB群の不足が考えられます。

ビタミンB群は、緑色野菜に多く含まれているので、色の濃い野菜を食べるように心がけるといいでしょう。


関連参照:
スポーツと栄養と
素晴らしき発酵食
ビタミン・ミネラル活用事典
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
サルコペニア予防  
つまらんことでしょうか

↓クリックをお願いします。


2015年6月19日金曜日

カルシウムと共にとりたいビタミンC

体を動かし、エネルギーの貯蔵庫である筋肉は、一つの固まりではなく、線維が束になってできたものです。

モモ肉を食べると縁組がありますし、ササミを割くとスジになっているように、細い線維が束になって、筋肉となっているのです。
 
その線維の束のまわりは筋膜という薄い膜で覆われています。

蕎麦を束ねて海苔でまいた、蕎麦寿司を思い浮かべていただくとわかりやすいでしょう。

束になった蕎麦が筋肉で、蕎麦をまいている海苔が筋膜というわけです。
 
ところで、それぞれの筋肉の線維の数は、お腹にいる6ヵ月の胎児のときにおおむね決定してしまうということがわかっています。

最近の研究では、その後、どんなトレーニングをするか、どんな食べ方をするかで、線維の数を多少増やすことはできるといわれていますが、強さや太さはもっと自在に変えることができます。
 
ここでまた、蕎麦寿司を思い描いてください。

蕎麦一本一本が太くなると、一本一本の接する面が少なくなり、すき間が人きくなります。

そこに、ビタミンCがあると、剥がれにくい弾力のある筋肉になるのです。

鉄筋構造の骨と一緒です。そして、この線維も骨と同様に、弾力がなければケガをしてしまうのです。
 
ですから、トレーナーは選手が筋量を増やす場合、
タンパク質をきちんととるのと同時に、ビタミンCもとるよう栄養指導します。

筋肉が太くなると肉離れを起こしやすくなるので、あらかじめ、ビタミンCをとることでケガを予防しようというわけです。
 
野球選手、お相撲さんなどはよく肉離れを起こしますが、それは、筋肉の一本一本の線維が太くなり、線維どうしの密着部分が少なくなったためです。

さらに、筋肉自体が大きくなったことによって、骨にも付着しにくくなっているためです。
 
つまり、筋肉が発達し太くなると、それだけ負荷がかかり、リスクが高くなるのです。
 

関連参照:
スポーツと栄養と
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
中高年からの筋肉作り  
サルコペニア予防  
つまらんことでしょうか



↓クリックをお願いします。



2015年6月16日火曜日

運動選手の疲労骨折とカルシウム

タンパク質、ビタミンCに加え、筋量を増やしていくときに必要になる栄養素が、カルシウムです。

タンパク質の摂取量が上がると、タンパク質代謝の常として、カルシウムの必要量が上がるためです。

まず、タンパク質を多くとり、それが人はのアミノ峻に分解されると、血液が酸性に傾きます。

それを中和させるためにカルシウムが使われるのです。

また、タンバク質をとったことでアミノ酸処理が活発になると、多くの尿素が出るため、尿の排泄も活発になります。

そのとき、水に溶けやすいカルシウムは尿と一緒に排泄されてしまうのです。

つまり、タンパク質を摂取すると、カルシウムが使われるだけでなく、排出されやすい状態になるため、タンパク質はカルシウムと合わせてとる必要があるのです。
 
もしも、タンパク質やビタミンCだけを大量に摂取し、カルシウムを摂収しないでいると、カルシウムが不足してしまいます。

たとえ、通常通り、牛乳やジャコ、野菜などを食べて、カルシウムを摂取していたとしても、タンパク質の摂取量が上がれば、普段以上にカルシウムが使われてしまうので、不足状態になるのです。
 
カルシウムはとても大事な栄養素で、99%は骨や歯に貯蔵されています。

残りの1%は細胞中にあり、細胞の中と外の水分調整をしたり、酵素に働きかけ全身の細胞を活発にさせたり、白血球の食菌作用を助け免疫機能に関与するなど、生命の維持に深く関わるような仕事をしているのです。
 
それほどの大仕事をしているカルシウムが不足してしまっては一大事です。

ところが、人間の体はよくできているもので、貯蔵している骨や歯から借りてきて使うことができるのです。

万一カルシウムが不足してしまった場合、体の内部から供給できろように骨や歯に貯蔵されているのです。非常に素晴らしいシステムだと思います。
 
しかし、これで一件落着ということにはなりません。

借りてきたものは、元の場所にきちんと戻す必要があります。

食べ物から大量にカルシウムをとって、借りた分をすべて返すことができればいいのですが、悲しいことに、骨や歯から溶け出したカルシウムは戻すことができないのです。

そして、骨代謝で入れ替わるまで、カルシウムを貸し出した部分の骨密度は、低い状態のままでいなければならないのです。
 
さらに、不思議なことに、口から摂取した経口カルシウムは、多くとりすぎてしまった場合でも排泄されやすいのですが、体の中から借りてきたものというのは排泄されにくいのです。
 
では、排泄されなかったカルシウムはどうなるのでしょう?

カルシウムはイオンで溶け出るのですが、溶け出したカルシウムは結石化しやすく、結石化した状態であちこちに付着し、付着したところで硬くなってしまうようなのです。つまり、血管に悪さをするということです。
 
だからこそ、常に、不足しないようにとり、骨から借りないようにしなければならないのです。
骨に貯蔵されているカルシウムは、骨の強度と硬度のために使うものですから、骨専用に使ってもらうのがベストなのです。
 
運動選手が疲労骨折をするというのはよく聞く話ですが、これは骨自体にカルシウムが足りないためなのです。

筋肉を増やしていくときに骨に借りを作ってしまった結果といえるでしょう。

タンパク質を多く摂取し、体を激しく動かして筋肉が大きくなったときにカルシウムが不足し、知らず知らずのうちに骨が脆くなる。

結果、重くなった筋肉を支えることができずに、骨折してしまうのかもしれません。



関連参照:
スポーツと栄養と
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
中高年からの筋肉作り  
サルコペニア予防  
つまらんことでしょうか


↓クリックをお願いします。



2015年6月13日土曜日

体がいうことを聞かなくなるワケは?

通常、私たちは「こうしよう」「こうしたい」と思ったら、思い通りに体を動かすことができます。

けれど、時々、思い通りにならないときがあります。たとえば、パソコンに長い間向かっていた場合など、目の下の表情筋という筋肉がピクピクと動いて止まらなくなります。

そのようなときは、「止めたい」「止まれ」と思っても止まりません。
 
また、テニスなどをやっていて、足が攣(つ)ってしまうことかあります。


攣るというのは、自分の思い通りに動かなくなってしまった状態のことで、ストレッチをしたり、誰かに足を伸ばしてもらい、ようやく正常の状態に戻すことができます。
 
表情筋の動きが止まらなくなったり、足が攣ったりというように、体が自分の意思通りに動かなくなるのは、神経の情報伝達がどこかでうまくいかなくなった結果といえます。
 
では、なぜ、情報伝達がうまくいかなくなるのかというと、長時間同じ部分を使うことによって
カルシウムとマグネシウムが足りなくなるからです。

神経伝達物質というのはビタミンB群が中心になっているのですが、これらは汗に溶け出しやすく、さらに、ストレスがかかると減りやすいという性質を持っています。

そのため、長時間同じことをしているときや素早い動きで運動をしているときに、使っている部分が攣ってしまうわけです。
 
情報を飛ばすためのカルシウムにしろ、抑制するためのマグネシウムにしろ、どちらか一方が欠けるだけで、筋痙挙というのは起こりやすくなります。
 
たとえば、スピードを上げる練習をしている際には、選手の足が攣ってしまうことがあります。
選手というのは多くが頑張り屋ですから、挙りそうになってからも練習を続けようとします。

しかし残念ながら、挙ってしまったらそこから先は練習にはなりません。
 
私は、そんな選手たちを見るにつけ、選手の足が挙らないようにできないかという思いが
つのり、神経の伝達ということに着目しました。

大豆製品や海藻、ジャコや桜エビ、アーモンドやバナナなどからカルシウムやマグネシウムをとるようにしてみたら、選手たちの足のツりはぐっと減少したのです。


一昔前までは、神経伝達物質のことなどわかっていませんでしたから、

「攣ってしまうのは根性が足りないからだ」

などといわれていましたが、足が挙るのは根性の有無ではなく、カルシウムとマグネシウムの有無が鍵を握っていたのです。


関連参照:
スポーツと栄養と
素晴らしき発酵食
ビタミン・ミネラル活用事典
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
サルコペニア予防  
つまらんことでしょうか

↓クリックをお願いします。

2015年6月10日水曜日

炭水化物を組み合わせて時間差吸収

炭水化物を多く含むのはごはん、パン、めん類など、主食として食べる穀類です。

ごはんをたくさん食べられないという人は、炊き込みごはん、ドリア、中華丼など、味付けで工夫すると食べやすくなります。

スポーツをする人は、主食として毎食ごとにしっかりと摂りたいものです。
 
副菜として、いも類、かぼちや、根菜、大豆以外の豆類のほか、果物にも炭水化物は含まれています。

いもやかぼちゃの煮物、野菜のポタージュスープなど、メニューも豊富ですし、ヒヨコ豆や金時豆の水煮缶はスしフや煮物、サラダなどそのまま使えるので、手軽で便利です。
 
炭水化物(糖質)を摂るときのポイントですが、白いごはんのように精製されたものばかりではいけません。

玄米でも、いもでも、豆でも、いろいろな種類の食べ物を組み合わせて摂ることが大事です。

玄米のように丸のままを食べたとすると、ビタミンB1の不足による脚気になることもありません。

時々、白米に雑穀ミックスをプラスしたり、発芽玄米や7分づきを食べてみるなど、1週間に1回でもいいので、自分流のアレンジをしてみることをおすすめします。
 
もう1つ、食べ方のポイントは2種類以上の炭水化物を組み合わせることです。

糖として吸収の早い食品(GI値の高い)と遅い食品を一緒に摂ることで、
長い時間、血糖値をバランスよく保つことができるからです。

食べ物はいろいろな栄養素を含んでいますから、組み合わせることで、自然といろいろな栄養素を取り入れることになります。

できるだけ簡単に手に入るもの、スーパーマーケットでも売っているものをすすめました。それはシリアルです。
 
シリアルは、炭水化物としては手軽な食品で、上手に使えば効果的です。

最初は1種類から始め、習慣化できたら玄米シリアル、オールブラン、フルーツグラノーラなどを組み合わせて食べることをオススメしました。


食べ慣れてくると体調に合わせて「今日はこっちを多く食べて、これは少なめに」なんて工夫できるようになるのです。


関連参照:
サプリメントとの付き合い方
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
中高年からの筋肉作り  
サルコペニア予防  
つまらんことでしょうか


↓クリックをお願いします。



2015年6月7日日曜日

食を大切に思う気持ちが次につながる

私たち人間は、多くの情報を得、さまざまな刺激を受けたほうがより成長できるといわれています。

小学校から多くの科目を勉強するのは、刺激による成長を促すためではないでしょうか。
 
スポーツの分野でも、たとえば野球選手はキャッチボールやバットを振っているだけでなく、ランニングやウェイトトレーニングもします。

いろいろな刺激を受けることで、潜在能力が目覚め、培われて、本物の能力となって発揮されるのです。

 
食事にも味、香り、食感、色彩など、五感を刺激するいろいろな要素があります。

たとえば、日本食を食べるときには、右手と左手を違う目的で使うため、動きがそれぞれ違っていて、脳にとてもよい刺激を与えることができます。

また、五感の中でも嗅覚はとても古い感覚で大脳に直結しているため、さまざまな食材や食事を嗅ぎ分け、味わうことで、有効な刺激剤にもなるのです。
 
「この栄養素は何グラム必要?」「何品目は食べなくてはいけない」というのではなく、「カラダには何か必要なのか」「なぜいろいろなものを食べるのか」という視点を持つことによって、食事に対する考え方が大きく変わります。
 
自分のカラダの中で栄養素のすべてが用意できれば、私たちは何も食べなくてもいいわけです。

でもそれは不可能です。人間が生きていくうえで、これだけは必要という栄養素を食事で補わな
くてはなりません。

カラダの成り立ちを知り、食べ物のことを理解できたら、もっともっと食べ物を大切にしようと思うようになり、いい加減な食べ方はできなくなるのではないでしょうか。

食べ物やカラダを気にかけることは、毎日を大切に生きていることにつながります。

食を大切に思う気持ちは、食器を雑に置くか、そうっと優しく置くかくらいの違いです。些細なことではありますが、先々には大きな差が出てきてしまうのです。
 
電気製品でも靴やハンドバッグなどの小物でも、手荒く扱えば長持ちしません。

カラダも同じです。疲れたら早めにケアをすることで回復は早くなりますし、いつもはコンビニのおにぎりを食べていたのを、自分で握ったおにぎりにしてみると、カラダは喜びます。

やがては自分の血や肉となる食べ物だから疎かにしない。この優しい気持ち々が、次につながるのではないでしょうか。

2015年6月4日木曜日

使わないと退化する!

いま、日本では究極のカロリー制限ダイエットとして、
断食」が流行っています。

消化器官を休ませることで、代謝がリセットされる、腸がきれいになる、デトックス効果があるなど、断食をうたったホテルのプランや、専門の道場なども多いのです。
 
代謝とは、栄養素をエネルギーに換え、消費することだ。

日々の生活の中で、私たちの体は、どうしても代謝しきれない、余分なものが溜まってゆく。

断食にデトックス効果があるいは、それをエネルギーとして使うからである。

しかし、さらに断食を続けると、体は筋肉や骨を壊してエネルギーを確保するしかなくなってしまう。

断食によって飢餓状態になった体は、命を守るために、脂肪だけでなく、他の部分まで利用してしまうのである。

そうなると、断食後のリバウンドや、体へのダメージが非常に大きくなる。
 
断食がどこまで体によく、どこから体を壊してしまうのか、個人差があるため、見極めるのは難しい。

断食では、絶食後初めての食事が、最も危険だと言われている。

お腹が空いたからといって、一気にごはんを食べると、最悪の場合、体がショックを起こして心臓麻痺などを起こす可能性さえある。そのため、断食道場やセミナーでは、重湯から七分粥、具のない味噌汁と、ゆっくりと元に戻してゆく。
 
だから断食は素人が安易に手を出すべきではないのです。
 
刑務所に入っていた人は、出所後、久しぶりにステーキを食べると腹を壊すという。
それは質素な食事に体が慣れ、ステーキなど脂っこい物を消化する働きが退化してしまったこと
が原因だ。
 
体の機能はすべて、使わなければ退化する。例えば、健康な人でも、骨折などで1ヵ月も使わなければ、筋肉が落ちてしまうのだ。

 
筋肉と違い、内臓は目に見えない。しかし内臓も使わなければ、確実に衰えてゆくのだ。
 
食べ物の消化と吸収は、胃や小腸、大腸にかけて行われている。これをまとめて吸収機構と呼ばれている。
 
吸収機構には、非常に細かい役割分担がある。例えば、アルコールは胃からすぐ吸収が始まるが、水分やミネラルを体内に取り込むのは大腸の役目だ。

炭水化物は小腸で吸収され、吸収された後、炭水化物とタンパク質は、すべて肝臓へ回され、そこでエネルギーに換えられる。一方、脂質は全身を回った後、肝臓に集められる。
 
食べ物によって、取り込まれる場所や方法が異なるのである。
 
炭水化物の吸収機構は、炭水化物にしか働かない。炭水化物の消化を、脂質の機構が担うことはできないのだ。

また同じ炭水化物でも、ごはん由来の糖と、パン由来の糖では、機構が異なる。これはほかの栄養素でもそうだ。

タンパク質でも肉と魚では違うし、脂質でもマヨネーズなどに含まれる卵の黄身の油とサラダ油では異なる。
 
同じ機構だけが使われると、負荷が溜まり、ストレスになる。逆に、使われない機構は退化してゆく。
 
吸収機構の働きは、よくトレーニングに例えられる。例えば、100キロカロリーを消費しようと思った場合、ダンベル体操などの筋トレとジョギングなどの全身運動の、どちらが効率的だろうか?

たしかに、腕の筋肉はダンベル体操のほうが発達するだろう。

しかし、筋トレだけで100キロカロリーを消費するのは、かなり大変だ。
ジョギングのほうが、ずっと効率的にカロリーを消費することができる。

もし、他の運動は一切せず、ダンベル体操だけを続けたら、脚やお腹の筋肉は退化してしまうだろう。

その点、体全体の筋肉をまんべんなく鍛えることのできるジョギングは優れているといえる。

全体を使ったほうがいいのは、吸収機構も同じだ。
ある栄養分だけを摂り続けると、一つの機構が酷使され、ストレスが溜まってゆく。

一方、使われない機構は退化してしまうのだ。
食事の品目をなるべく増やしたほうがいいのは、このためである。



関連参照:
シニアからの栄養学
中高年からの筋肉作り  
サルコペニア予防  
サプリメントとの付き合い方
老化。焦げ・枯れ・錆びと
つまらんことでしょうか


↓クリックをお願いします。

2015年6月1日月曜日

食材を増やすだけでも効果は十分

日本の食卓は、世界の食品を取り入れながら、進化を続けてきた。
 
日本の家庭では、ハンバーグやシチューといった洋食の隣に、ごく普通にキンピラゴボウやイモの煮っ転がしといった和風の常備菜が並ぶ。鮫子や酢豚といった中華料理、キムチやナムルの韓国料理も日常的に食べられている。

家庭の食卓に、これほどさまざまな国の料理が並ぶのは、世界でも日本だけといわれている。

外国のよいところを取り入れ、アレンジするのは、日本のお家芸だ。
 
自動車産業など、戦後日本の成長を支えた産業も、最初は外国の模倣から始まった。

これと同じく、日本のバラエティーに富んだ食卓にも、外国文化に対する柔軟な姿勢があったと
いえる。
 
食の多様化が一気に進んだのは、1960年代から70年代にかけてである。食材やレシピが増え、豊富になった食卓が、日本人の健康にいい影響を与えたのは間違いない。
 
60年代までの日本食はいわゆる粗食で、品数が少ないこと塩分が多いことが弱点だった。それを欧米食で補いながら、品数を豊富にしていったのだ。
 
それが功を奏し、50年代、アメリカ、フランス、イギリスなどの主要先進国中、最低だった日本の平均寿命は、70年代終わりに他国を抜き去り、世界一に躍り出ている。
 
しかし何事も、「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」ではないだろうか?

80年代以降になると、今度は欧米化か進みすぎ、肉と油が過剰になってしまう。
飽食の時代を迎え、日本人の食卓は絶妙なバランスを崩し、悪化の一途をたどってゆくのだ。
 
今の日本人の食事は健康面から見て、相当ひどいところに来ていると言わざるをえない。

それは東北大の研究チームの行った実験と、さまざまな生活習慣病の増加が証明している。
 
80年代から外食産業が盛んになったことも、食生活の質を落としている。
 
人々は時間に追われ、手間のかかる家庭料理よりも、「早い、安い、うまい」をモットーにする、ファストフードやコンビニ食品、単品物のチェーン店などで食事を済ませることが増えた。
 
一昔前、サラリーマンの昼食といえば、愛妻弁当か町の大衆食堂が定番だった。

大衆食堂といっても、今の若い人には通じないかもしれない。焼き魚などのおかずと、ごはん、味噌汁、小鉢がお膳に載って出てくる、小さな食堂のことだ。たいていは家族経営で、ほっと落ち着ける庶民的な店が多かった。
 
しかし、情報化社会の中で時間に追われ、効率を求められる中で、食事の時間も削られて
しまった。
 
家族みんなでちやぶ台を囲んだり、大衆食堂で女将さんと世間話をしながら定食を食べたりするスタイルは、もはや映画の中の懐かしい場面でしかない。
 
牛丼やラーメンといった単品メニューを一人黙々とかき込む、家でもコンビニの惣菜やカップラーメンで済ませるといった現代の食事風景に、うそ寒さを感じてしまうのだ。
 
ファストフードやコンビニが大躍進する一方で、日本人の食のバランスは失われ、生活習慣病がはびこるようになったのだ。
 

しかし、60年の食事には、決定的な弱点がある。それは食材の種類が少なく、必要な栄養素が足りないということだ。また、塩分も多かったため血圧が高くなりがちで、脳溢血で亡くなる人が非常に多かった。
 
その後、高度経済成長期を経て、日本中に流通網が発達する。一般の家庭でも、日本各地
から、さまざまな品が手に入るようになり、食材の数が爆発的に増えた。
 
それによって弱点を克服した75年型の食事が、和食の最高峰だ。

しかし、80年代、90年代と時代が進むにつれ、朝はパンとベーコンなど欧米風の食事で簡単に済ませ、お昼は牛丼やラーメンなど、食材が少ない単品ものを食べることが多くなっていった。
 

75年頃は、女性は結婚したら家庭に入り、専業主婦になるのがまだ当たり前だった。食事の準備にかける時間も、今よりずっと良かったはずだ。
 
そう考えると、「スーパー和食」をそのまま再現することは、簡単ではないかもしれない。

しかし、その基本にある「食材の数を増やす」「少しずつ、いろんなものを食べる」という考えを取り入れれば、それだけで相当な効果が期待できるはずなのだが。


関連参照:
スーパー和食。調査方法
スーパー和食-3
素晴らしき発酵食
ビタミン・ミネラル活用事典
老化。焦げ・枯れ・錆びと
シニアからの栄養学
サルコペニア予防  

↓クリックをお願いします。